研究概要 |
平成16年度からの2年にわたり,小学校の問題場面(被師あるいは児童がフラストレーションを抱える場面を指す)での言葉かけを,教員志望学生が学ぶためのeラーニング用被材を作成し,その教育効果を検討する研究をすすめてきた。平成16年度は,教材作成に必要な資料の整理を行い,eラーニング教材のコンテンツを作成した。このコンテンツは,学習者がネットワーク端末からいつでも受講できるオンデマンド授業を想定して,講義内容をビデオによって収録し,パワーポイントなどの教材を同期させてPCのディスプレイ上に提示する形態であった。 平成17年度においては,上の研究経過を踏まえて,さらに2つの研究を実施した。 (1)教育内容の効果についての検討 まずは,教室内にてライブで実施される,コンテンツと同内容の講義が,受講者たちにとって,問題場面の教師の言葉かけを学ぶのに有効であるかの検討を行った。大学生を対象に,教職科目「教育心理学」の授業の中で,その講義を実施した。講義の前後には,彼らが問題場面で実施しうる言葉かけについて尋ねる質問紙を実施した。検討の結果,受講した大学生たちは,講義後おいて,問題場面で小学生に使える言葉かけの知識を広げ,言葉かけのレパートリーを幅広く習得していた。 (2)eラーニングコンテンツにおける教育効果の検討 次に,完成したeラーニングコンテンツ自体の教育効果を検討した。複数の大学生に対して,(1)の講義内容が収録されたeラーニングコンテンツを閲覧することを求めた。そしてコンテンツの閲覧の前後における,問題場面での言葉かけについての被験者たちのレパートリーを比較を行った。その結果,被験者たちは,ライブの講義と同様に,コンテンツの閲覧後において,問題場面での言葉かけのレパートリーを豊富にしたことを実証した。
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