研究概要 |
本研究課題の目的は,高等教育機関の授業実践を対象として,一般的な講義形式の授業(例えば,教育心理学)と作業を伴う演習形式の授業(例えば,情報機器演習)をアンケート調査により比較検討し,満足度や理解度の規定因の特定に向けて,授業評価の基礎的データの収集及び蓄積を行った. 具体的には,メディアリテラシー教育を目的とした二つの教育実践(事例1:「教育の方法及び技術」,事例2「情報機器演習I」)を取り上げ,カリキュラム編成,授業シラバス作成,授業実践,授業評価に関わる一連の過程を分析し,授業メカニズムの解明を行った. 対象となった保育学生は,事例1は71名,事例2は104名が,携帯待ち受け画像あるいはWebアニメーションといったPCスキル獲得を目的とした授業に参加した.授業評価アンケートの分析を行った結果,クラスサイズが比較的大きい場合に,特定の学生からの質問を受けると,他の学生への対応がおろそかになり,学生の理解度を低下させることが示された. また,学生の興味・関心を引きつける教材の開発,教材提示方法の工夫,信頼関係の構築といった要因がうまく作用する学習環境をデザインすることによって,学生の満足感や理解感を高めることが示された. これらの教育実践を受けて,協働的・対話的な教育コーチング理論の構築を試みた.発見学習,プログラム学習,有意味受容学習といった伝統的な教授法と本実践との比較によって,教師と学習者の関係改善,授業計画立案のための発散的思考ツールの有効性が明らかになった.
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