研究概要 |
1 学校カウンセリングにおける絵画療法の実践:2004度から日本の小学校で初めて学校カウンセリングにおける絵画療法の実践を試み、学級での多動、不登校の解消、情緒の安定等の問題に対して有効性が認められた。この成果を第37回日本芸術療法学会等で報告した(岡田,2005)。 2 家族イメージ彩色法に表現される家族の変化:学期毎に家族イメージ彩色法(岡田,2000)を実施し、その変化を追った。家族の現状は刻々と変化し、その様子は家族画のみならず、例えば家や花等にも比喩的表現として表出された。児童の中には内省できるようになり、家族イメージ彩色法を施行したときに家族への希望を明確に表現することができるようになった例もあった。 3 ドイツブレーメンにおける絵画療法との比較:ドイツブレーメンで行っている描画療法的アプローチの実践との比較においては、対象児童の問題の相違や学校教育システムへの統合のあり方の差異が明らかになった。際立つ日本の特徴は、教師が児童生徒の心理的状態を把握し、家族まで対象にしてこころの成長に大きく寄与するため、学校カウンセリングにおいては教師へのコンサルテーションが不可欠であることである。 4 今後の課題:今後この絵画療法的アプローチを他の学校に般化させ、日本の学校での確実な成果を得るために、複数の小学校における実践を開始・継続し、学校教育システムに定着するプロセスを吟味することと、短期間で成果を挙げることができるように、面接期間に制限したり誘導覚醒夢法等イメージ技法(Leuner,1976)を組み合わせたりする技法的改良を行うことである。
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