研究概要 |
今日男女雇用機会均等法などの影響もあり,女性は結婚・出産を経た後も何らかの仕事を継続する傾向が強くなってきている.しかし,こうした働く女性に対するサポート体制は未だ十分とは言えない.本研究では,働く女性に対するサポート体制を今後よりよいものにしていくための有益な情報を提供することを目的とした.今年度は,滋賀県、大阪府下の保育所に依頼してアンケート調査を行った.アンケート用紙の項目は、母子健康手帳に記載されている子どもの健診をはじめとする様々な情報,母親のメンタルヘルス,養育態度で構成されている.またアンケート回答時には出来れば夫をはじめとする誰かと一緒に,子どもの母子健康手帳記載事項について記入してもらうようにし,アンケート最後には記入後の感想を書く欄も設けた.母子健康手帳を母親だけで見るのではなく,夫をはじめとする身近な人と一緒に過去の話をしながら見ることによって親の意識や気持ちに変化が生じるのではないかと仮定し,そのことを確認するためである.アンケート用紙は,保育所に保護者への配布を依頼した.そして回答を終えたアンケート用紙は郵送してもらった結果、855部の回答済みアンケートが届いた.夫婦で回答したデータは少なく,大半は母親一人で記入していた.ただ一人で記入していても母子健康手帳を開き,改めて記載内容を見ることにより,「忘れていたことを思い出し楽しかった」等の感想がみられた.一方、母子健康手帳の記載内容と母親の状態にはある程度の関連が示唆されたが、実際には今回のアンケート用紙ではチェックできていない様々な他の要因(例えば、舅・姑・夫との人間関係等)の影響も少なくない.今後は、こうした他の要因も絡めた研究を展開していく必要性があるだろう.
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