研究概要 |
本研究は,学校情報の需要と供給の乖離を可能な限り小さくし,情報提供者・受容者間の信頼関係醸成を支援するために,1)公立学校情報提供の内容・表現に関する指針の提案を目的とした調査分析を実施し、更に2)学校情報と学校へのアクセスの公平性に関する理論的検討及び理論構築を行うことを目的とし、公立学校情報の提供における情報の内容、種類(質的データ/数値データ),表現方法などの違いによる情報受容者側の反応について、調査及び実験を通じた実証的な検討を行うことを基に、研究を進めてきた。検討に際しては、1)情報受容時の短期的な反応,2)情報提供による学校観の長期的変化,という二つの視点を設ける。また、量的表現に馴染まない評価項目が多いという教育活動の特色を鑑み、量的情報に加え,質的に表現された情報への反応についても検討を行っている。 これまでの研究代表者の研究成果からは、保護者が公開して欲しいと考えている学校情報が明らかになった。更に、情報に対しての保護者の非中立的対応-例えば、特定の情報内容や表現方法に対する過剰反応や極端な無関心、例えば、学校間の些少な差異を非常に大きな差異と理解・反応したり、公開される情報の限られた一部しか注目・活用しないといった現状が裏付けられ、この知見から、過剰な反応を生みにくい情報領域、例えば、各学校の経営やマネジメントに関する情報、特に、学校裁量予算に関する情報などに注目していくことが今後の学校情報の公開に対してひとつの方向性を示していることが明らかになった。 更に、これらの課題に加えて、18年度には特に、学校配置に関連する学校の物理的条件にも着目し、その実態分析を行っている。
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