配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
研究概要 |
今年度は主に,リーマン多様体におけるリッチ曲率の下限に相当する条件の,一般の測度距離空間での定式化を研究した.これは10年以上にわたって重要な問題として考えられてきたものであり,現在も活発に研究されている断面曲率を下から押さえた空間(アレクサンドロフ空間)を更に一般化した対象であると共に,Cheeger-Coldingらによるリッチ曲率を下から押さえた多様体の列の収束・崩壊理論に適切な枠組みを与えるものと期待される. 具体的に得られた結果としては,Sturm及びLott-Villaniによって最近与えられたCurvature-Dimension条件よりも弱い,Measure Contraction Property(MCP)という条件を導入した.(Sturmも独立に同様の条件を導入している.)これはリーマン多様体の場合にはリッチ曲率の下限と同値であり,またリッチ曲率を下から押さえたリーマン多様体で知られている種々の性質(Bishop-Gromovの体積比較定理,Bonnet-Myersの定理など)がMCPを満たす測度距離空間に拡張される.また,アレクサンドロフ空間はMCPを満たす.更に,特に重要な結果として,MCPは測度距離空間の列の測度付Gromov-Hausdorff収束の下で保存され,これとGromovのプレコンパクト性定理を合わせると,MCPを満たす測度距離空間の族は測度付Gromov-Hausdorff位相でコンパクトであることがわかる.
|