研究課題
若手研究(B)
本年度、行った研究により得られた成果は以下の通りである。(1)飛躍項を含まない退化型確率関数微分方程式の解に対して、マリアヴァン解析を適用することにより、確率密度関数の存在性および正則性を調べた。その際、セミマルチンゲールに関する基本不等式が重要な役割を果たす。そこで得られた条件は、現在の状態にのみ依存する、確率常微分方程式の場合によく知られている「ヘルマンダー型条件」と類似しており、大変興味深い結果を得ることができた。本結果については、既に雑誌(Acta Applicande Mathematica)への掲載が決定しており、現在印刷中である。(2)飛躍項を含むような確率関数微分方程式の場合に、解の分布に対する絶対連続性の問題を考えた。ポアッソン空間上でのマリアヴァン解析を展開し、より自然な形で、分布の絶対連続性を判定する方法を考案することに成功した。そして、飛躍項の係数が非退化であれば、分布が絶対連続であることを導いた。この結果については、現在、論文として投稿している最中である。本年度は未だ研究結果としては得られていないが、ポアッソン汎関数に対して、上記(2)で述べたマリアヴァン解析を適用し、その密度関数の表現や漸近評価について、現在考察しているところである。また、その枠組みをウィーナー・ポアッソン空間上まで広げ、従来からよく研究されているウィーナー空間の場合も含めた形に拡張することも視野に入れて、より広いクラスの汎関数に対する密度関数の解析も行っている。
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Acta Applicandae Mathematicae
(submitted)
統計数理研究所共同研究リポート 175
ページ: 130-132