銀河合体の結果生じると考えられているブラックホールバイナリーは、一般相対論的な重力波を放射しながら合体し、太陽の1億倍以上の質量を持つ巨大なブラックホールの形成に大きな役割を果たしていると思われている。 本研究では、ブラックホールバイナリーを10マイクロ秒(月面上の2cmに相当)という超高精度のアストロメトリーによって検出し、その詳細な運動を探ることでブラックホールの合体過程を明らかにすることを目的としている。 最終年度の成果は以下のとおりである。 ・新しい位相補償観測手法の開発 バイナリーブラックホールの位置をより正確に決定するための新しいアルゴリズム「bigradient位相補償」を、山口大などとの共同研究で開発した。 ・バイナリーブラックホール探査観測 アメリカ国立天文台によるVLBIシステムVLBAによって、バイナリーブラックホール候補天体のモニターが実施され4回の電波観測データを取得した。この際、データの1次処理で天体の位置を決定する際にバグが発見され、これは本研究に極めて大きな支障となった。幸い、補正プログラムがリリースされたが、そのプログラムの検証も含め、解析時期が大幅にずれ込む結果となったが、近いうちに成果として報告する予定である。
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