研究課題
若手研究(B)
ニュートリノと原子核の荷電準弾性散乱反応は、原子核中の中性子とニュートリノが相互作用し、電荷を交換してミューオンと反跳陽子が射出される反応である。この反応は、ニュートリノ3世代混合の詳細を究明する次世代ニュートリノ振動実験(T2K)において、ニュートリノエネルギーの再構成に用いられ、振動解析の最重要な反応である。本研究はK2K前置検出器のひとつであるシンチレーションファイバー検出器で観測された事象を用いて荷電準弾性散乱反応を詳細に研究し、その相互作用断面積を決定することを目的としている。本研究では、K2K実験前置ファイバー検出器で得した事象をうち特に光量のおおきな陽子に対するS/Nを定量的に理解して、陽子トラックに対するヒット検出やトラック検出能力を改良、データの解析を行なった。この結果1トラック・2トラック事象として観測された12,000事象におよぶ準弾性散乱反応候補を選びだし、移行運動量分布を理論式によりフィット、準弾性散乱の相互作用断面積とその移行運動量依存性を測定し準弾性相互作用断面積を記述するパラメータである軸性ベクトル質量(MA)が、1.20±0.12ギガ電子ボルトであることを示した。当結果では、酸素原子核として相対論的フェルミガス模型が適用され、かつ最新の電子散乱データによるベクトル形状因子や、酸素原子核内の核子運動の詳細、およびニュートリノビーム自体の不定性などが考慮されている。結果を論文に纏め、平成18年3月、Physical Review D誌へ投稿した。
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Physical Review D. (Submitted)
Phys.Rev.Lett. 94
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Phys.Rev.Lett. 95
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Phys.Lett. B619
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Physics Letters B (Submitted)
Physical Review Letters 94
In Proc.Of 6th International Workshop on Neutrino Factories and Superbeams (NuFact04), Osaka, Jul26-Aug01, 2004
In Proc.Of 32nd International Conference on High Energy Physics (ICHEP04), Beijing, China, Aug16-22, 2004.
Physical Review Letters 93
ページ: 51801-51801