研究概要 |
2005年9月18-22日にハワイで行われた、第二回日米物理学会合同核物理分科会にて「^<16>Cにおける四重極集団運動の異常抑制の発見」というタイトルで招待講演を行った。また、同学会にて、より軽い中性子過剰核^<12>Beにおける陽子の四重極集団運動性を現す、第一励起状態の寿命測定実験の予備的な解析結果について、新しい寿命測定法の紹介と共に口頭発表を行った。 ^<16>Cにおいて陽子側の四重極運動が異常に抑制されていることが第一励起状態の寿命測定実験から分かったので、中性子側の四重極運動性を調べるために、^<16>Cの第一励起状態への陽子非弾性散乱実験を行った。陽子非弾性散乱断面積は、核内の中性子四重極集団運動性に敏感な物理量である。現在までに調べられている全ての原子核において、陽子、中性子の核内四重極集団運動性は、両者ほぼ同じであることが分かっている。したがって、陽子の四重極集団運動が抑制された^<16>Cでは、陽子非弾性散乱も抑制されると予想された。しかし、^<16>Cに対する非弾性散乱断面積は、周囲の原子核の値とほぼ同じであることが判明した。これは、^<16>Cにおいて中性子の四重極集団運動性は抑制されていないことを意味し、^<16>Cでの四重極集団運動の異常抑制は陽子側の寄与によるものだと結論づけられた。本研究は投稿論文にまとめられ、Physical Review Cに掲載された。 本研究課題の本来の研究対象である^<15,17>B,^<18>Cにおける四重極集団運動の研究については、いずれも実験が終了し、解析を進めている段階である。
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