研究課題/領域番号 |
16740167
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村上 修一 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (30282685)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | スピンエレクトロニクス / スピンホール効果 / エッジ状態 / トポロジカル秩序 / スピン流 / ビスマス / 表面状態 / グラファイト / ベリー位相 / スピントロニクス / フォトニック結晶 / スピン軌道相互作用 / p型半導体 / 電気分極 / ゲージ場 |
研究概要 |
電場でスピン流を誘起する効果(スピンホール効果)について、本年度は特に量子スピンホール相に着目し研究した。量子スピンホール相とはトポロジカル秩序の一種で、非磁性絶縁体であるが非自明なトポロジカル数を持ち、不純物等に対して安定な表面状態を持つ。こうした相は理論的に提唱されたものの、実験と関連づけられる系はまだないため、その候補となる物質探索を行った。前年度研究代表者が発見したように、絶縁体でのスピンホール効果は帯磁率と関連づけられるため、反磁性帯磁率の大きいビスマスについて、薄膜の場合にトポロジカル数の計算やバンド計算を行い、2次元系では量子スピンホール相になることを提案した。3次元での表面状態等の実験との比較を行い、半金属ビスマス、アンチモンやそれらの合金が量子スピンホール相の候補となることを理論的に提案した。本結果を実験研究者や第一原理研究者へと提案し、実験的検証に向け研究を進めている。 上記とも関連して電荷のポンピングの研究も行った。異常ホール効果やスピンホール効果と、電荷のポンピングとは一見全く異なっているが、理論的な枠組み(ベリー位相の物理)は類似しており同様の方法論を使うことができる。特に今年度は不純物の多い1次元系について、ベリー位相によるトポロジーの効果が、(不純物の存在下でも)電荷ポンピングに強く影響することを実証した。 また光でも同様の現象が研究代表者らにより前年度に予言された。この光のベリー位相の物理について、今年度は精密な定式化を行い、媒質界面やフォトニック結晶内での光線のシフトを計算した。またX線についても、ベリー位相の効果が顕著になる例を発見した。それは歪んだ結晶中をX線波束が進む場合に、歪みの大きさよりも何桁も大きく波束がシフトするというものであり、これは最近実験的に観測されつつある。
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