研究概要 |
今年度は、昨年度に完成した低温・高圧比熱計を用いて、新しく発見された圧力誘起超伝導体のCeRhSi_3を1.6GPa,100mKまでの圧力下の比熱測定を行った。常圧で反強磁性転移温度1.6Kが加圧と共に上昇し、0.6GPaで1.8Kとなる。さらに加圧すると減少に転じ、1-3GPa以上では反強磁性転移後に超伝導転移に伴う明確な比熱のジャンプが観測された。反強磁性転移に伴うピーク構造は、0.4GPaと0.6GPaでは2つに分裂しており、高圧下に新たな磁気状態の存在を示唆している。常圧でRln2の8%程度しかないエントロピーが加圧と共にさらに減少していくことも明らかにした。 前年度から継続し、SmTIn_5 (T = Co, Rh, Ir)の10GPaまでの高圧下電気抵抗測定を行った。加圧と共にネール点は、3〜4GPaで常圧より2〜3K上昇し極大を迎える。その後ほとんど圧力依存を示していない。このシリーズの磁気状態は加圧に非常に鈍感で、10GPaまでネール点は概ね一定であるということが分かった。 本研究の課題の一つとして、Ce_2CoIn_8の純良単結晶の育成を試みることをあげた。今年度も、フラックス法による多くの条件(温度条件、母体元素の仕込み割合)で育成を試みたが、単相の結晶を得られなかった。この系はCeIn_3の相とCeCoIn_5の相が非常に安定な相状態で、218相は前述の2相のせめぎ合いによって安定して得られないことが分かった。
|