研究課題/領域番号 |
16740195
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
小林 義彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (60293122)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | La_<-1-x>Pr_xCoO_3 / スピン転移 / P-f混成効果 / 磁性 / 電子輸送現象 / 結晶場 / 化学圧力効果 / La_<1-x>Pr_xCoO_3 / La_<1-x>Pr_xCoO_3単結晶 / 電子輸送特性 |
研究概要 |
ペロブスカイト型酸化物RECoO_3(RE:希土類元素)におけるp-f混成効果がもたらす特異な磁性と電子輸送特性との間に相関に注目して、La_<1-x>Pr_xCoO_3単結晶試料を作製し、磁性と電子輸送現象を系統的に研究した。 (1)電気抵抗測定から、REサイト置換により、キャリア数が増大する、またはポーラロンホッピング伝導の活性化エネルギーが減少する、といった効果があること、熱電能およびホール効果測定からLaCoO_3へのPr少量ドープにより負符号のキャリア、PrCoO_3へのLa少量ドープにより正符号のキャリアがドープされていることを示唆する結果を得た。これらの実験事実を、Pr-4f軌道がO-2p軌道を介してCo-3d軌道と混成することによりCo-3d軌道に電子的なキャリアがドープされているというモデルで説明することができた。 (2)La_<1-x>Pr_xCoO_3単結晶におけるCoによる磁気モーメント成分を抽出することを目的として、La_<1-x>Pr_xAlO_3多結晶試料を作製し、磁化測定を行った。その結果、La_<1-x>Pr_xAlO_3の帯磁率の温度依存性は結晶場を考慮したPr4f状態による磁気モーメントで説明できるが、La_<1-x>Pr_xCoO_3の低温での帯磁率はこれでは説明できないことが明らかになった。この結果はPrの磁気モーメントがLa_<1-x>Pr_xAlO_とLa_<1-x>Pr_xCoO_3で大きく異なることを示唆する。これは、上記のPr-4f軌道のO-2p軌道を介したCo-3d軌道との混成により、Prの磁気モーメントの大きさが変化していることによる可能性がある。すなわち上記モデルの傍証と考えられる。 (3)光電子分光によるPr-4f軌道の観測を行い、La_<1-x>Pr_xCoO_3においてはPr-4fレベルがCo-3dレベルに非常に近く、重なっており、Co^<3+>のみを考慮した電子状態では光電子スペクトルが説明できないことが明らかになった。一方4fレベルが深いNdCoO_3ではCo^<3+>-LSで光電子スペクトルは説明できる。これはPr-4f軌道がO-2p軌道を介してCo-3d軌道と混成しているというモデルの有力な証拠であり、上記(1)、(2)とも整合する。 (4)(3)で得られたLa_<0.1>Pr_<0.9>CoO_3のCoイオンによる帯磁率の温度依存性(X(T))からスピン転移に伴うCo^<3>の磁気モーメントを求め、2段階スピン転移モデルで解析した。エネルギーギャップのPrドープ量依存性をLa^<3+>とPr^<3+>のイオン半径の違いに寄る化学的圧力効果と考えて解析した結果、(x=0では100K付近の)LS-IS転移は静水圧下におけるスピン転移と同様に化学的圧力とともに2次関数的に増大するのに対し、IS-HS転移は約500Kでほとんど変化しない。これはLS-IS転移とIS-HS転移の機構が本質的に異なっていることを示唆している。
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