研究課題/領域番号 |
16740198
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 琢 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00283458)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 1次元フェルミ流体 / 量子流体 / ヘリウム3 / ナノ多孔体 / 吸着ヘリウム膜 / 核磁気共鳴 / 比熱 |
研究概要 |
多孔体FSM中の直径2.8nmの1次元細孔をヘリウム4で被覆しヘリウム3を浮かべた場合、ヘリウム3は高温で2次元古典理想気体の比熱を示し、0.1Kの温度近傍でピークを持ったあと、低温で縮退を示す温度に線形な比熱を持つことが実験で示されていた。我々のモデル計算との比較から、この比熱ピークが、1次元細孔の周方向運動の最低励起状態への熱励起によるもので、低温に1次元ヘリウム3流体が実在し高温で2次元気体へクロスオーバーしているとして解釈可能であることがわかった。まずこの解釈の妥当性を検証するため、本研究の初年度には、1次元細孔径を小さくした場合のヘリウム3比熱について測定を行い、熱励起による比熱ピークが高温へシフトするということが確認できた。この実験結果は、孔径を小さくするに従って最低励起エネルギーが大きくなることによるものと考えられ、ヘリウム3気体の次元性クロスオーバーの解釈を支持し、孔径を小さくすることでヘリウム3の1次元流体が実現できる温度範囲が広がることが明らかになった。今年度は、さらにこの次元性クロスオーバーを仮定したモデル計算の精度を高め、より広い密度範囲で、比熱の温度依存性の実験結果と計算の比較を行った。また、微視的な情報、特に1次元ヘリウム3の基底状態について知見を得るための、SQUID-NMR実験の核となる広帯域SQUIDセンサーを、実際に実験に使用する大型希釈冷凍機に設置し試験運転を繰り返し行った。このセンサーには希釈冷凍機の高真空空間における冷却に問題があることがわかったため、ノイズ対策や、回路を直接冷却する熱リンクの設置など、センサーの製作技術者と連絡をとり改良を進めている。今後、この冷却の問題を解決し、NMR法を用いて1次元ヘリウム3気体の基底状態の微視的情報を得るべく、研究を継続、発展させる。
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