研究概要 |
本年度は,(1)ガラス板の平行サンドイッチ実験における破砕挙動の解析,(2)パルスパワーによるセラミクス管破砕実験の検討・実施を行った.それぞれの概要は以下の通り. (1)ガラス板の平行サンドイッチ実験における破砕挙動の解析 ガラス板サンプルを用いて,一様等方な衝撃による脆性破砕の臨界挙動,破片質量分布の様子について調べた.具体的にはガラス板をステンレス板でサンドイッチしておもりを落下させ衝撃を加える実験を行った.その結果,衝撃が十分な場合は破片質量分布がべき分布に従う一方,比較的小さな衝撃による破砕の場合は対数正規分布が現れることが確認された.破片の加重平均質量が擬コントロールパラメータであるマルチプリシティによりスケーリングされることが我々の過去の実験により明らかにされていたが,べき分布から対数正規分布への遷移に伴いこのスケーリングにクロスオーバーがみられることを本研究で明らかにした.また,ガラス管の垂直サンドイッチ実験では,破片質量分布のべき指数が1.5となるのに対し,ガラス板の平行サンドイッチ実験ではそれが2となることも本実験で明らかとなった. (2)パルスパワーによるセラミクス管破砕実験の検討・実施 機械的衝突による破砕の他に爆発による破砕の実験についても企画,検討を行った.パルスパワージェネレータを用いて細い銅線にパルスパワーをかけることにより,銅線がジュール熱により溶け飛散する.あらかじめセラミクス管にこの銅線を通しておき,パルスパワーを印加することにより,この爆発のエネルギーを用いてセラミクス管を破砕可能であることを見出した.今後はこの実験系による結果を力学的衝撃による破砕と比較し,脆性破砕の普遍性について考察を行う予定.
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