研究課題/領域番号 |
16740220
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
川崎 光宏 新潟大学, 自然科学系, 助手 (70372472)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 大自由度カオス / 不安定周期軌道 / 時空カオス / 乱流 / 結合写像格子 / Kuramoto-Sivashinsky方程式 / 周期軌道展開 / SRB measure / 周期軌道アンサンブル / 統計力学 / 熱力学形式 |
研究概要 |
今年度は以下の二つの成果を得た: 1.2次相転移を起こす結合写像格子モデルにおいて、不安定周期軌道の統計性を調べた。2次相転移点から離れたパラメータ領域においては、ただ一つの周期軌道により巨視的性質を記述することができるが、2次相転移点近傍では有限周期の周期軌道により巨視的性質を記述することはできないことが分かった。これは、2次相転移点近傍では定常状態への緩和時問が発散するためである。このことは、周期軌道とカオス軌道による巨視的物理量の誤差が緩和時間でスケールされることで確認される。この研究により、大自由度カオスの巨視的性質を周期軌道一つで記述するためには、その周期軌道の周期が系の緩和時間よりも長くなければならないことが示された。 2.時空カオスの巨視的統計性を記述する状態アンサンブルの構成を試みた。まず、ミクロな性質は捨てて巨視的性質のみを記述する状態アンサンブルの満たすべき必要条件を瞬間的定常性と大数の法則により定式化した。十分性の厳密な証明は与えていないが強く期待される。この条件による状態アンサンブル構成のテストとして、Kuramoto-Sivashinsky方程式における数値的研究を行った。二つのパラメータを含む確率分布を発見法的に作り、条件を満たすようパラメータを決定することができた。パラメータは観測量をフィットするものではなく、条件により理論的に決定されるものである。したがって、この条件は状態アンサンブル候補の選定に有効であることが分かった。一方、確率分布の形は発見法的に得ているため、確率分布の形を決める方法論の探索、および、それが有効な現象クラスの決定が将来の課題として残された。
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