研究課題/領域番号 |
16740224
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
永尾 太郎 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 助教授 (10263196)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ランダム行列 / 半古典量子論 / 準位統計 / 量子グラフ |
研究概要 |
量子カオス系のエネルギー準位統計の普遍性の起源を明らかにすることを目標に、半古典量子論にもとづいて、周期軌道和の方法による解析を行った。最近、連続力学系に対して、組み合わせ論的な手法を使って周期軌道和を評価することにより、エネルギー準位相関をダイアグラム展開の高次の項まで計算できることが知られるようになった。今年度の研究においては、この新しい方法による解析をさらに進展させることに成功した。すなわち、量子カオス系のエネルギー準位が磁場をパラメータとして連続的に運動する過程が、ランダム行列理論によって統計的に記述されることが確認された。具体的には、エネルギー準位相関の形状因子を半古典的ダイアグラム展開の方法により計算したところ、展開係数がすべてランダム行列理論の予言と一致することが明らかになった。さらに、量子カオス系が普遍性クラスの間を遷移する場合についても同様の解析を行い、ある組み合わせ論的な恒等式を仮定すれば、ランダム行列理論との一致が得られることがわかった。予想されるこの組み合わせ論的な恒等式は、代数学における表現論に関係していることが示唆されるため、その方向への研究を深めていくことが望まれる。また、非理想ランダム行列の振る舞いを明らかにするために、疎行列のレプリカ法にもとづく解析を行った。物理学や数理統計学への応用において重要な標本共分散行列を疎行列化したモデルに対し、有効媒質近似などのいくつかの近似法によって固有値密度を評価して比較を行った。特に、固有値分布の端領域における振る舞いを再現するための補正を行うことに成功した。レプリカ法と有効媒質近似にもとづく方法によれば、より現実的な複雑ネットワークの隣接行列を扱うこともできる。そこで、今回の研究において用いられた手法を適用することにより、ランダム行列理論の応用範囲をさらに広げることが可能になるであろう。
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