研究課題/領域番号 |
16740242
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理・化学物理
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉岡 伸也 大阪大学, 生命機能研究科, 助手 (90324863)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | コレステリック液晶 / パターン形成 |
研究概要 |
プラナー配向を持つコレステリック液晶は、急激な温度変化にさらされると、空間的な綱目パターンを発生させる。その原因は、もともと強く温度に依存するらせんピッチが、温度変化に追随できないことに関係していると考えられる。本研究では、比較的低分子なコレステリック液晶cholesteryl oleyl carbonateをサンプルに選び、空間パターン生成の観察と透過光・反射光の分光測定を行った。また、温度を一定に保ち平衡状態での液晶分子の配向揺らぎダイナミクスを調べるため、光子相関実験法を行った。 透過光スペクトルの形状から、液晶内部の配向構造に関する情報を得ることができる。実際、網目状パターンの発生は、その構造に対応するスペクトル成分の出現として確認することができる(Molecular Liquids & Liquid Crystals誌に発表)。測定の結果、およそ0.5mK/s程度よりも速い上昇率で温度上昇させた場合にパターンが発生することがわかった。この閾値の存在は、フランクの自由エネルギーを用いて考察することができる。温度の変化は平衡らせんピッチの変化に対応するため、急激な温度上昇は液晶の配向運動の一つであるツイストモードを励起する。したがって、温度の上昇速度が、平衡点に戻ろうとする液晶配向の緩和時間に比べて十分速い場合、系は自由エネルギー曲面の高くまで励起され、パラポリックな領域を超えて、他の極小状態へ落ち込んでいくと考えられる。これが、プラナー構造の不安定化である。この考えを確かめるため、光子相関実験法により液晶分子の配向揺らぎの緩和時間を測定した。その結果、およそ150ms程度の遅い緩和時間が観測され、閾値に対応する温度率では、確かに大きな振幅のツイストモードが生成されることが確認された。(Ferroelectrics誌に発表予定)
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