研究概要 |
近年,核融合実験装置内で発見されているカーボンダストは,トリチウムを吸蔵し装置内に残留するため問題視されているものの,その発生起源は不明である.本研究は,水素プラズマ・壁相互作用によるカーボンダスト発生のモデル実験を行い,この発生起源を検討することを目的としている.今年度は以下の成果を得た. 1.核融合実験炉の周辺プラズマのモデル実験のため,15kWの高周波電源を用いた高密度ヘリコン波プラズマ実験装置を製作した.イオン密度1×10^<13>cm^<-3>,電子温度6eVと核融合実験炉内の周辺プラズマに近いパラメータを実現した. 2.モデル実験と比較する目的で,核融合実験炉におけるダスト生成について検証するために,核融合科学研究所のラージヘリカルデバイス(LHD)の第7及び第8実験サイクル終了後に,LHD内の数箇所に亘ってダストを採取し,そのサイズ,数密度,組成を調べた. 3.ダストをTEM, SEM観察,EDXによる組成分析をすることによって,(1)1〜40nmのダストが多数存在する.(2)1μm以上のカーボン系ダストは100nm以下の球状ダストが凝集した形状である.(3)1μm以上のダストの捕集量は捕集面の角度で変化し,水平面が多い.(4)サイズ分布はJungeの指数分布と一致した.この結果は,カーボン系ダストが気相中で凝集し成長することを示唆している.(5)体積分率で全体の10%を占める1μm以下のダストが表面積で全体の70%を占め,1μm以下のダスト表面への水素吸着は,トリチウム吸蔵に大きな影響を持つ.という結果を得た.
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