研究課題/領域番号 |
16750010
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
西山 洋 長岡技術科学大学, 分析計測センター, 助手 (50303186)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | IRAS / 弾性表面波 / 格子変位 / 吸着状態 / 金属酸化物薄膜 / 光電子放出顕微鏡 / レーザードップラー法 |
研究概要 |
弾性表面波(SAW)によって金属薄膜表面に生じる格子変位が、吸着種に及ぼす効果を明らかにすることを目的として、単純な分子構造のため振動スペクトルの解析が容易であるCOをプローブ分子として用い、SAW伝搬路上に接合したCu薄膜表面に吸着したCOのSAWによる吸着状態変化をIRAS方を用いて測定を行った。573Kでアニーリング処理のみを行ったCu表面ではCO吸着によって2070cm^<-1>に鋭い1本のピークが生じたのに対し、スパッタリング処理を行ったCu表面では、2100cm^<-1>付近に3本の目立ったピークを有する幅の広いスペクトルが生じた。解析ソフトウエアを用いてピーク分離を行ったところ、このスペクトルは4本のピークから成り立っており、それぞれのピーク位置は2072cm^<-1>,2086cm^<-1>,2095cm^<-1>および2104cm^<-1>であった。これまでに報告されているCu単結晶表面に吸着したCOのIRASピーク位置を用いてスペクトルの帰属を行ったところ、アニール表面に生じた2070cm^<-1>のピークはCu(111)面に吸着したCOの振動伸縮ピークであることが明らかとなり、一方、スパッタリング表面では2072cm^<-1>のピークはCu(111)に、2086cm^<-1>のピークはCu(100)に、2095cm^<-1>のピークはCu(110)および2104cm^<-1>のピークは高指数面およびステップサイトに吸着したCOのピークであることが明らかになった。アニール処理を行ったCu表面へSAWを伝搬させるとピーク位置に変化はないがピーク強度が減少した。SAWの伝搬を停止すると、減少したピーク強度は増加しSAW印加前のピーク強度と同等となった。スパッタリング処理を行ったCu表面では、SAW伝搬によってCu(111)面などの低指数面に吸着したCOのピーク強度が減少し、逆に高指数面およびステップサイトに吸着したCOのピーク強度が増加し、SAWの伝搬を停止すると、ピーク強度の変化はSAW印加前のレベルに戻った。以上のことから、吸着種に及ぼすSAWの効果は、原子レベルで異なる表面構造の違いを反映することを明らかにし、格子変位効果は、外部からの信号によって、触媒活性と選択性を制御できる有用な手法であることを見出した。
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