研究概要 |
前年度に見出した、広い分極窓を有する疎水性イオン液体|水界面(RTIL|W界面)の電気化学を系統的な測定、定量的な解析により発展させた。また、前年度に完成させた表面第二高調波発生(SHG)分光測定装置を用いて、RTIL|W界面の分子構造を調べた。以下にその詳細を示す。 1.疎水性イオン液体(N-octadecylisoqunolinium tetrakis[3,5-bistrifluoromethylphenyl]borate)と水との界面を横切るイオン移動サイクリックボルタモグラムをデジタルシミュレーションで解析し、RTIL|W界面を横切るイオン移動の見かけの標準イオン移動電位(相対値)を求めることに成功した。様々なイオン種について、ニトロベンゼン(NB)や1,2-ジクロロエタン(DCE)の場合と比較し、このRTILの溶媒としての性質を議論することができた。 2.水中金属イオンのRTILへの促進イオン移動を様々なリガンドにより電気化学測定し、従来の有機溶媒とは異なるRTILの特異性を発見した。RTIL-W金属イオン抽出系において相間電位差の制御により高効率金属イオン抽出が可能であることを明らかとした。 3.RTIL|W界面における芳香族系カチオンの配向をSHG測定により調べた。イオン分配により界面電位差を変化させると、RTIL相が負電位のときには、カチオンはRTIL|気体界面の場合と同様、芳香環を界面法線に対して50°傾けて配向していることが分かった。一方、RTIL相が正電位にしていくと配向が変わり、カチオンの芳香環が界面に沿って寝た配向をとることが分かった。
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