研究概要 |
オレフィン類の開環メタセシス反応に高活性を示すことが知られているGrubbs-Hoveyda錯体を用い、置換アセチレン類の重合反応を検討したところ活性を示すことが明らかとなった。適用可能なモノマーとしては、n-ヘキシルプロピオレートや1-フェニル-2-(p-トリメチルシリル)フェニルアセチレン類が挙げられ、それぞれの最適化条件において数平均分子量25,500、60,700の高分子量のポリマーが得られた。n-ヘキシルプロピオレートから得られたポリマーは、その^1H-NMRの結果より、主鎖が比較的高いcis含率(75%)を有していることが示された。一方、後者の二置換アセチレンモノマーの場合では、得られたポリマーの有効共役長が従来の前周期遷移金属触媒により得られるポリマーに比べ短いことがUV/可視吸収スペクトルより示された。^<13>C-NMR(CP-MAS)の測定結果により、先の有効共役長の重合触媒による差は、得られたポリマーの主鎖の幾何構造の差に由来することが示唆された。 このGrubbs-Hoveyda錯体は、後周期遷移金属であるルテニウムを中心金属として有していることから、従来の置換アセチレン類の重合触媒である第5、第6族遷移金属錯体に比べ極性官能基に対する耐性が高いこと期待される。本研究は、今後様々な極性官能基を導入したアセチレン類、特にこれまでにほとんど例のない極性官能基を有する二置換アセチレンモノマーの重合反応を検討する上でも重要であると言える。
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