研究課題
若手研究(B)
ポルフィリンは、様々な金属イオンを配位できる性質やその金属錯体の多彩な触媒機能に加え、優れた電気的・磁気的・光化学的な特性のため、新しい電子・光学・医療材料として広範な分野で盛んに研究されてきた。研究代表者は5,15-ジアリールポルフィリンの銀塩酸化によるカップリング反応を応用し、これまでに多種多様なメゾ位直結型の直線状ポルフィリン多量体を合成してきた。最近、メゾ位の置換基や置換位置を工夫することで、より高次に立体的なポルフィリン多量体を合成することに成功している。本研究では、ポルフィリン多量体を環状にすることで新たに出現する光機能や配列した金属間の相互作用などを明らかにし、最終的に金属上の触媒作用を実現するべく研究を行っていく。メタフェニレン架橋ポルフィリン4量体を出発原料として、銀塩酸化によって8量体を得た。これをさらに3量化して直鎖状24量体を合成し、これを高希釈条件下で分子内環化し環状24量体を得た。精製はGPCを用いて行い、同定は1H-NMR,MALDI-TOF-MS,STMによって行った。環状ポルフィリン多量体と直鎖状ポルフィリン多量体の紫外可視吸収スペクトルを比べると、それぞれの形状に対応した励起子結合によって特徴的なスペクトルを示した。また、分子内の一重項励起エネルギー移動速度は、励起子相互作用が強いメゾ-メゾ結合ポルフィリン間は数百フェムトセカンドの速い速度定数を示し、メタフェニレン間の4量体は35psであった。共有結合のみで結合した環状ポルフィリンとしては最も大きな分子であり、そのサイズは天然のアンテナ系に匹敵する。これらポルフィリンリングは環状に結合した芳香族化合物としての観点からも非常に興味深い。
すべて 2006 2005
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Chemistry - A European Journal 12・5
ページ: 1319-1327
Journal of the American Chemical Society 127
ページ: 236-246