研究課題/領域番号 |
16750144
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体関連化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野尻 正樹 大阪大学, 理学研究科, 助手 (20333346)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | タイプ1銅 / 電子伝達 / cytochrome c |
研究概要 |
本研究の第一の目的は、新奇な一次構造を持つ亜硝酸還元酵素のN末領域に存在するタイプ1銅含有ドメイン(青色ドメイン)の機能について明らかにすると共に、新奇な電子伝達経路が存在する可能性について検討することである。具体的には、青色ドメインに電子を渡す、あるいは青色ドメインから電子を受け取るタンパク質を本培養菌株(メタノール資化性脱窒菌:Hyphomicrobium denitrificans A3151)から調製し、同定することである。 前年度までの研究成果で、青色ドメインに電子を渡すタンパク質としてcytochrome c_Lが同定された。そこで今年度の研究では、まず、cytochrome c_Lと青色ドメイン、そしてcytochrome c_Lと亜硝酸還元酵素の間の電子移動反応をストップトフローを用いて観測した。その結果、cytochrome c_Lと青色ドメイン間の電子移動速度定数は1.2x10^6M^<-1>s^<-1>、cytochrome c_Lと亜硝酸還元酵素間は1.5x10^5M^<-1>s^<-1>と見積もられた。これは、一般的な蛋白質間電子移動速度定数に匹敵する速度であり、生体内でも起こり得る反応であることを強く示唆された。なおいっそう、本電子移動反応が生理的なものであること証明するための前段階として、cytochrome c_Lへの電子の供給源となるメタノール脱水素酵素からcytochrome c_L間の電子移動メカニズムについても、X線結晶構造解析とキネティクスから詳細な検討を行い、現在までに2報、論文として発表した。そして、本研究の最大の成果として、新奇な青色ドメインを持つ亜硝酸還元酵素のX線結晶構造解析に成功した。本酵素は同一のサブユニットが6個相互作用したホモ6量体構造をとっており、青色ドメイン同士で擬似2回軸対称を保ったまま相互作用していた。また、青色ドメインのタイプ1銅は分子表面近傍に位置し、cytochrome c_Lから電子を受け取ることを裏付ける構造をしていた。しかしながら、その青色タイプ1銅はそのC末領域に存在するNIRドメインの銅原子とは約25Å程距離があり、そのままの構造では電子伝達するとは考えにくい。そこで、青色タイプ1銅が電子を受け取った後、大きな構造変化が本酵素中で起こる可能性について、立体構造から検討を行った。これは、これまでの亜硝酸還元酵素ならびに電子伝達蛋白質の中での研究においても、全くの新奇な知見であり、論文にまとめ投稿予定である。
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