研究概要 |
土壌微生物からホルムアルデヒドを唯一の炭素源として,ホルムアルデヒド資化微生物を単離し,高いホルムアルデヒドオキシダーゼ産生能を有するTrichoderma sp.KAIT-M-124株を単離した。本菌株を0.1%パラホルムアルデヒド含有寒天平板培地で前培養し,0.1%パラホルムアルデヒド含有液体培地で4日間培養した。集菌した菌体から,培地400mlあたりホルムアルデヒドオキシダーゼ1.5Uの粗酵素が得られ,粗酵素を各種クロマトグラフィーを用いて,ほぼ単一タンパク質にまで精製できた。この精製酵素から決定したN末端アミノ酸配列は,Gln-Asn-Asn-Gly-Asp-Asp-Phe-Met-Phe-Ile-Val-Val-Gly-Glyであり,このアミノ酸配列からDNAミックスプライマーを設計し,cDNAライブラリーから,ホルムアルデヒドオキシダーゼ遺伝子を増幅することができた。 また,土壌微生物からギ酸を唯一の炭素源として,ギ酸資化微生物を単離し,ギ酸オキシダーゼ産生能の高いPenicillium sp.KAIT-M-138株を単離した。培養1週間で培地300mlあたりギ酸オキシダーゼ4U,比活性0.5U/mgの粗酵素を得ることができた。本酵素を精製して特性を評価した結果、本酵素の基質特異性は高く、ギ酸のみに作用することが明らかになった。また、ミハエリス定数は0.01mMと低く、分析に適した酵素であることが示された。 本研究にて得られた2つの酵素は,ともに基質特異性が高く,溶液中のホルムアルデヒドとギ酸を定量分析するのに適した酵素である。また,2つの酵素を用いることで,溶液中のホルムアルデヒドおよびギ酸を二酸化炭素にまで,溶液中の溶存酸素を用いて酸化することで,無毒化できることが明らかになった。
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