研究概要 |
新規光捕集系の創製を目的に、様々な無機化合物と有機物の複合化を行い、無機組織構造体の光反応場特性について研究を行った。以下に、本年度の研究成果を列挙する。 1.光捕集分子の合成と無機組織体との複合化 光捕集能を有するデンドリマー誘導体の合成を行った。デンドリマー誘導体として、コアにスチルベンを有し、世代の異なるデンドリマー誘導体の合成に成功した。世代の低いデンドリマー誘導体は、無機層状化合物(LDH)と容易に複合化し、特異な光化学挙動を示した。これらの成果は、平成17年日本化学会春期年会で発表予定である。 2.無機/有機組織体の構造解析と光反応特性 無機物の組織構造を利用した、有機物の配列と光化学反応特性の相関について検討を行った。無機組織体として層状無機化合物の一種である、LDHを用いた。有機物として、自己集合能を有する界面活性剤型ジアセチレン誘導体を新規合成した。ジアセチレン誘導体の構造を系統的に変化させ、XRDや熱分析などにより複合体の詳細な構造を解明したところ、光反応特性と複合体の微細構造には大きな相関が存在することが判明した。これらの結果により、光捕集系を設計する上で大きな足がかりを得ることができた。(Chem.Lett. 2004.1268,J.Phys.Chem.B, in press) 3.チタニアナノシート/メソポーラスシリカ複合膜の合成 チタニアナノシートおよびメソポーラスシリカは、それぞれナノメートルサイズの空間を有しているが、それぞれの構造は全く異なる。このように二種類の異なる構造を有する無機化合物の階層化を行い、その光化学反応場特性について検討を行ったところ、2種の無機構造体界面で光誘起電子移動が生ずることを見いだした。これらの知見は、新規光捕集系を構築する上で新たなブレークスルーとして期待される。(Chem.Mater.2005,17,206,Langmuir in press 2005)
|