研究概要 |
本研究の目的は高温超伝導ピックアップコイルをMRI等へ実装化するために,高温超伝導体の強磁場中での諸特性を評価し,高温超伝導ピックアップコイルとしての使用環境限界について明らかにすることである.超伝導特性として特に強磁場中での表面抵抗Rsを誘電体共振器法,及びマイクロストリップ共振器法を用いて評価した.また,MRIピックアップコイルには瞬間的に大強度パルスを印加されることから,超伝導薄膜の臨界電流密度Jcを試料振動法,及び通電法により評価した.測定サンプルは,YBa_2Cu_3O_<7-δ>(YBCO)薄膜,及びDyBa_2Cu_3O<7-δ>(DyBCO)薄膜を用いた.本研究では強磁場(〜5T)中においてもRsがJcに反比例し,その相関は無磁場中の関係式, Rs(@22GHz)[mΩ]=2×10^7/Jc[A/m^2])...(1) でほぼ説明出来ることを初めて実験的に明らかにできた.さらに,YBCO薄膜における表面抵抗の印加磁場角度依存性について調査した.その結果,印加磁場の変化に対しても,(1)式の関係が成り立つことを実験的に示すことが出来た.以上の結果から,酸化物超伝導体のMRIピックアップコイルへの応用の有用性と,NMR等の更に高磁場中超伝導応用への充分な可能性を示すことが出来た.さらに,金属系超伝導体MgB_2薄膜の磁場中表面抵抗評価を行い,as-grown MgB_2薄膜が低Rs特性を示し,その原因が表面平滑性にあることを明らかにした.
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