研究概要 |
生体の3次元瞬時画像計測を行いバィオテクノロジに新たな理解や発見を行うことを将来の念頭におき,デジタルホログラフィにおいて光の並列性を利用して位相シフトを並列に行い3次元画像計測を行う方法を検討し,この方法を行うシステムの設計と原理確認実験システムを構成した.また,実験システムにより所望の結果が得られ,提案方法の有効性を確認した.並列位相シフトディジタルホログラフィでは,再生像の画質が従来の位相シフト法に比べて劣化する.そこで,再生像の画質を向上できる像再生アルゴリズムを提案し,計算機シミュレーションおよび原理確認実験により提案アルゴリズムの有効性を示した.従来の像再生方法では,異なる位相が周期的に配列される参照光を用いて記録されたホログラム画像において各位相に対応する画素を抜き出しホログラム画像を4枚作成し,この4枚の画像から再生像を計算していた.一方,提案法では,'ホログラム画像の中で異なる位相を持つ参照光によって記録される近傍の4画素から再生像の1画素を計算し,不足する画素情報を再生像面で補間する.微小生体としで500μmのミジンコを観察試料として従来の位相シフト法で撮影して,等価的に並列位相シフトデジタルホログラムを作成し,原理確認実験を行った.再生像を比較した結果,提案法は,従来法に比べて試料内部の構造が明瞭に再生できることがわかり,提案法の有効性を示せた.さらに,並列位相シフトホログラフィにおいて位相変化を3段階変化させる並列位相シフトディジタルホログラフィを考案した.考案方法では,位相が各画素で-2π/3,0,2π/3変化するように参照光を設定する.考案方法では,撮像素子の画素数が一定の場合,従来の位相を4段階変化させる並列位相シフトディジタルホログラフィよりも有効に働く画素数が増加できるために,再生像の画質を向上できることを明らかにした.
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