研究概要 |
本研究の目的は、電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance : ECR)イオン源の高いイオン化効率に着目した極微量元素分析装置を開発することである。ECRイオン源は、その安定性、ビーム強度の強さから加速器用イオン源や多価イオン衝突実験などに幅広く利用されている。ECRプラズマはその高いイオン化効率に特徴があり、分子や微粒子なども完全にイオン化される。本研究では、試料導入方法としてレーザーアブレーション法を採用した。本年度は各種の試料形態について、レーザーアブレーション法による試料導入試験を実施した。 レーザー照射システムとECRイオン源との接続部分の開発では、ECRプラズマの位置関係、粒子輸送系についての軌道計算及び閉じ込め磁場の磁場配位を検討し、最適な形状と配置を決定した。開発したレーザーアブレーション試料導入装置をECRイオン源に装着して、Al, Cu, Ta, Fe等の金属試料を用いてECRプラズマの粒子トラップ効果の測定及び抽出粒子のイオン化効率測定を行った。アブレーションに使用するNd-YAGレーザーは、波長λ=1064nmでパルス幅7ns、エネルギー50mJである。レーザー照射強度1.4×10^9W/cm^2によりレーザーアブレーション試験及び抽出粒子のECRプラズマトラップ試験を実施した。また高精度分析電磁石の整備及び生成イオン計数器の開発を行い、生成イオンの質量分析測定を実施した。本研究の応用として、フラーレン(C_<60>)試料をレーザーアブレーション法によりECRプラズマに導入し、フラーレン破砕法による炭素クラスターイオンの生成を実施した。供給マイクロ波のエネルギーを調整して、選択的炭素クラスターイオンの生成に成功した。
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