研究概要 |
1.接合体のピエゾ特性の解明とモデリング (1)CFRPのピエゾ抵抗特性 CFRP一方向板のインピーダンス特性と引張負荷に対する交流ピエゾ抵抗特性を調べることにより,直流ピエゾ抵抗モデルの単位要素に繊維と直交する方向にキャパシタ要素を付加した等価回路モデルを考案し,定式化を行った。次に,等価回路モデルに基づき,引張負荷下でのピエゾインピーダンス挙動を考察した。負荷によるインピーダンスの大きさの増加は直流抵抗成分の増加に起因するが,繊維と直交する方向についてはキャパシタンス成分の増加による位相角の変化が見られた。 (2)接合体のピエゾ抵抗特性 CFRPと鉄鋼をフィルム接着剤で接着した接合体についてピエゾ抵抗特性を実験的に調べた。前年度の成果同様,はく離や変形により直流抵抗が変化するだけでなく,接合部のCFRPを電極とするキャパシタが形成されると考えることにより,キャパシタンス変化に起因するインピーダンス変化を捉えることができた。しかしながら,接着層が薄い場合,CFRPと鉄鋼の界面で炭素繊維を介した導電パスが形成されるため,キャパシタンス変化が観察されないケースもあることが確認された。 2.モニタリング手法の開発と有効性の検証 CFRP接合体の接合部の健全性をモニタするための電極の構成法について検討した。接合部分が絶縁体(誘電体)である場合,インピーダンス中のキャパシタンス要素を測定できるように電極を配置すればよいことが確認された。なお取得したデータからひずみ分布や損傷状態を知る逆解析に必要な定式化を行った。
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