研究概要 |
本研究課題では,近年,精度要求が激化するマイクロ非球面レンズ製造技術に対応し、情報技術を援用した新しいナノ精度加工技術を開発する.特に,φ数mm以下のマイクロレンズの開発を可能とするナノ精度加工システム・プロセス技術の確立を目指す.そのために,(1)マイクロ非球面レンズ用射出成形金型の加工を行うためのナノ精度加工システムを構築し,(2)更なる微小な砥石のツルーイング技術の構築と加工NCプログラムの補正加工技術の構築のための専用CAMの開発を行う. マイクロ非球面レンズの開発を可能とするナノ精度加工システム・プロセス技術の確立を目指すため,微小砥石のツルーイング方法の検討と設計データや機上測定データのフィードバックによりナノ精度加工の向上を目指した専用CAM開発を行った.特に,専用CAM開発では,長田三角形パッチ10)という新しい概念に基づき,ナノ精度を目指す加工パスの生成が可能なソフトを開発した.理論的には,理想形状と補間データとの誤差がサブナノレベルとなっている.これによる補間データを用いて実際に加工を行ったところ,良好な状態に加工でき,プロファイル精度は0.1μm以内,粗さはRy21nm程度が得られている.加工プロセスとしては,主としてELID研削技術を検討しているが,小径砥石を用いて,複雑な加工データにより自在に形状加工を施すためには,ELID用電極の設置や処置が課題となる.そこでこうした課題に対処するべく,砥石に電極を用いない新しいELID原理を創出した.研削液ノズル部に陽極・陰極を有し,電気分解された研削液を砥石に供給することで,微細・複雑形状加工に耐える手法である.さらに,高精度な加工の実現とともに,微細なレンズ金型を高効率に加工するために,既存のものよりもよりコンパクト化させたレーザープローブタイプと接触式タイプの各種機上形状測定プローブを開発した.
|