研究概要 |
低噴射圧で効率的に小粒径の噴霧を得る液体微粒化ノズル開発を最終目標として,本研究では微粒化促進効果が期待できるノズル内キャビテーションに着目した.本年度は特にキャビテーションによる微粒化促進機構の解明とキャビテーション支配パラメータの検討によって,効率的な微粒化ノズルの設計指針を得ることを目的とした.平成17年度に得られた研究成果は次の通りである. (1)ノズル内で発達したキャビテーションと液体噴流界面における液糸形成過程を,高速度ビデオを用いて同時撮影するために,光学系の焦点合わせと撮影位置調整方法を工夫した可視化実験システムを構築した.構築した系を用いた撮影画像を分析した結果,ノズル内でキャビテーションが発達した際に現れる,ノズル出口付近におけるキャビテーション気泡群の崩壊により生じる強い乱れを伴う液塊が,液体噴流界面での液糸形成を誘起する直接的な因子であることを明らかにした. (2)ノズル内キャビテーションと液体噴流の支配因子を明らかにするために,ノズルサイズ,流体の種類(水と軽油),流体の粘性係数などの物性値を変化させた実験を行った.その結果,ノズル内キャビテーションおよびノズル出口付近の液体噴流挙動は,流れのレイノルズ数に強くは依存せず,キャビテーション数に強く依存することがわかった.また,ノズル出口付近における液体噴流挙動は,噴流速度やレイノルズ数に対する依存性が弱く,ノズル内キャビテーションに左右されることがわかった.
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