研究概要 |
製作したスピンコーティング実験装置により,熱線流速計により排気流量を変化させてウェーハ上の気流を詳細に計測した.回転数は3000rpmに固定し,排気流量を0.0〜2.0m^3/minと変化させて,ウェーハの回転と同期した周方向,半径方向速度の計測を詳細に行った.その結果.油膜法による可視化実験で観察された円周上の筋とほぼ同じ位置に,約30本の等高線の筋が半径方向および周方向速度分布に観察された.つまり,wafer上の筋は気流のエクマンスパイラルが液膜に転写したものであることが示唆された.可視化実験では,排気流量による差異はほとんど見られなかったが,熱線計測でもwafer外縁近傍以外はほとんど差異が見られなかった.このことから,排気はほとんどエクマンスパイラルに対してほとんど影響しないと考えられる. また,Large Eddy Simulationおよび高次精度差分法によりwafer上の気流の大規模計算を行った結果,両手法とも定性的にエクマンスパイラルの発生位置および筋の様相を予測することは可能であることが,実験との比較により明らかとなった.しかしながら,これらの計算手法ではエクマンスパイラルが崩壊し乱流へ遷移する過程を全く捉えることができておらず,この現象を再現できる乱流モデルおよび計算手法の開発は今後の課題である.特に,Large Eddy SimulationにおけるSub-grid Scale応力のモデル化の検討および評価が重要であると考えられる.
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