研究概要 |
本研究では,マイクロスケールオーダーの微小流路(マイクロチャンネル)に交互に電場をかけることにより,2種の流体が交互にジャンクション部に流入し,2流体の界面面積の増加・制御を行い,混合を促進・制御を行うマイクロ・ミキサーの開発を行う.本年度は当初の計画通り,以下の3項目について実施した.詳細を以下に記す. 1.マイクロチャンネル内での2流体の混合促進の定量的評価 2流体の内の1つにローダミンB色素を混入させ,蛍光強度から濃度場の定量的測定を行った.流路断面内の濃度分布の偏差から混合度の定量的評価を可能とした. 2.混合へ及ぼすマイクロチャンネル形状の検討 H16年度製作したジャンクション部の角度は小さく,混合に適していなかった.そこで角度が90゜のTジャンクションとし,流路幅が200,100,50μmのチャンネルを新たに製作し,形状,流路幅の影響を観察した.Tジャンクション下流では,2流体の界面が波状のwavy flowパターンと,2流体が分断して交互にジャンクション部に流入するsegmented flowパターンの2つのフローパターンが観察された.電場の切り替え周波数,電気浸透速度,および流路幅で表されるストローハル数がO.2以下ではsegmented flowパターンを示した. 3.電気駆動による高性能マイクロ・ミキサーの開発 混合度の定量評価の結果,segmented flowパターンの混合性能が高いことが明らかとなった.混合度は,流路幅に関わらず,上記に示したストローハル数と,拡散係数と対流時間および流路幅からなるフーリエ数に依存することが明らかとなった.このことから本手法のマイクロ・ミキサーを設計の際の指針が得られた.流路幅に関係なくストローハル数が0.2付近で混合度は最大値を示し,流路幅が100μmでは流路長さが1.5mmで約85%の混合度の十分な性能を示した.
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