研究概要 |
液晶を駆動源としたモータの開発を目的として,理論研究および実験研究の両面から電場を印加した場合の液晶流動にアプローチを行った. 理論研究にはLeslie-Ericksen連続体理論を用い,平衡平板間の液晶材料に電場を印加した場合に誘起される流動の計算を行い,電圧,平衡平板間隔,壁面チルト角,および壁面ツイスト角の影響を系統的に調べ,液晶による物体駆動を行う際の最適条件の同定を行った.これらの計算は,液晶中に浸された物体を移動させる場合と2平板に相対運動を生じさせる場合の2通りについて行った. 一方,実験研究として,まず理論計算結果の確認を行った。2枚の固定された板ガラスの間に液晶材料(5CB)を注入し,電場によって誘起される流動の測定を行った.流れを可視化するために,2.5μmの微小なポリスチレン粒子を液晶中に混入し,粒子の移動を画像解析することによって流速を求めた.その結果,計算結果との十分な一致が見られた.さらに,2枚の板ガラスの内,一方をフリー(自由に移動できる状態)にし,電圧の印加によるガラス板の移動を観測した.その結果,液晶駆動型モータの開発可能性を明らかにした.
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