研究概要 |
任意往復気流による新しい呼吸量センシング法の実証試験 マイクロサボニウスタービンを用いた流量計に実際に呼吸を模擬した種々の任意往復気流を発生させ,その際のタービンの挙動(回転速度,角速度)を測定した.そして,前年度の研究で得られたデータより求められる特性曲線と照合することにより流量を算出し,実際の呼吸量との比較を行った.その結果,算出した流量と実際の流量はある程度一致したが,ヒステリシスの影響により,あまり高い精度での一致とはならなかった. タービン幾何形状の最適化に関する実験 精度の高い呼吸量計測を行うためには上記ヒステリシスを除去する必要がある.そこで,マイクロサボニウスタービンのヒステリシス特性に及ぼすタービンの幾何形状の影響を調べるため,種々の幾何形状を有するタービンを製作し,上記1と同様の実験を行った.その結果,タービン直径が小さく,翼枚数が少ないほどヒステリシスの程度が小さいことがわかったが,その場合には起動特性がやや悪くなることもわかった. ダリウスタービンによる呼吸量センシング法に関する実験 サボニウスタービンと同様に,垂直軸風車として利用されているダリウスタービンを用いた呼吸量センシングに関する実験を行った.その結果,タービンは往復流によって起動し,さらに呼吸パターンが周期的な場合,タービンの安定状態の回転数を測定することにより,呼吸の周期および最大流量が求められることがわかった.しかし,サボニウスタービンに比べて起動性が低いこともわかった. タービン前後の差圧およびタービンの騒音に関する実験 被測定者(患者)の呼吸運動に及ぼすタービン幾何形状の影響およびタービン流量計から発生する騒音を調査した.具体的には,微差圧計によるタービン流量計前後の差圧測定および音響解析装置による騒音測定を行い,差圧,騒音ともに患者に負担になるほどの大きなものではないことがわかった.
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