研究概要 |
[目的] 微粒子群は粒子径が小さくなると,粒子-流体間相互作用(流体力など)や付着力などの影響により凝集するため流動性が悪くなることが知られている.このため,微粒子群は装置内部で様々なトラブルが生じる.特に,微小隙間からの微粒子群の供給では閉塞などが発生し,安定的な操作が困難になると考えられる.そこで,隙間からの微粒子群の微量安定供給方法を実現することを目的として,微粒子群を空気で流動化し,その際の層内部の空隙流体圧の上昇効果を利用して多方向から容器外へ微粒子群を噴出させる研究を実施した. [実験方法と条件] 実験装置は微粒子群充てん部,空気供給部で構成する.ここで,微粒子群充てん部は内径50mm,高さ150mmと300mmのアクリル製円筒容器を用いた.また,均一空気量を流入するために容器上下にキャンバスを設置した.微粒子群の供給はキャンバス中央部と側面に設置した円形ノズルを通して行う.円形ノズル直径は1,2,4mmである.粉体層に流入させる空気流量は3〜30L/minとした. 実験は,粉体層に流入させる空気を,(1)上下から同時に,(2)上部からのみ,(3)底部からのみの3種類の方法で行った.本研究では,微粒子群の噴出量,粉体層上部と底部の空隙流体圧や層高さを測定した.使用粒子は,流体力などの影響を受ける平均粒子直径が約58μmのガラスビーズと付着力などの影響を受ける約70μmの小麦粉である. [まとめ] 本研究では,微粒子群の流動化操作による容器底部と側面の隙間からの供給実験を行い,次の結果が得られた. (1)上下から同一の空気流量を流入させた場合に微粒子群の最も安定した供給が実現できた. (2)付着性微粒子群では空隙率が隙間からの安定供給に大きく影響することが分かった. (3)微粒子群の供給量は空隙流体圧,円形ノズル直径が大きく影響することが明らかとなった.
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