研究概要 |
昨年度で開発された1脚3自由度である6足歩行ロボットの実機および実機に基づいたバーチャル力学モデルに基づく力・姿勢および振動のロバスト制御によって,作業用6足歩行ロボットの安定歩行を実現した.本年度には6自由度マニピュレータ機構に基づく6足歩行ロボットの作業に関する研究を着目した.そこで,本研究では地表探査,塗装,なぞるなどの面接触作業を実現するため,以下のいくつかの提案研究を行った.まず,面接触作業をしやすい立場から,今までの手先のオイラ姿勢角を表現するPUMA型6自由度マニピュレータマニピュレータと比べて手先のピッチ角,ロール角,ヨー角を直接表現するPRY型6自由度マニピュレータの機構を提案して開発した.つぎに,逐次検索法を提案して手先の3関節の軸が一点に交わらなくても逆運動学を解けるようになった.また面接触作業に対応できるため従来の位置・力のハイブリッド制御を拡張して位置・姿勢・力・モーメントのハイブリッド制御を提案した.さらに逆ヤコビ行列の計算を回避するため差分逆運動学法を提案した.研究成果は2005年8月第9回日本機械学会「運動と振動の制御」シンポジウムにて発表された.また,この研究成果をまとめて日本機械学会の「運動と振動の制御の21世紀への新展開」特集号に投稿した. ここまでの外部環境との接触制御は点接触しか考えなかった.しかしながら,実際の作業には面接触作業の場合もある.たとえば,塗装・塗布,研削・研磨,地表探査,なぞるなどの作業.このため,研究代表者が提案したマニピュレータの手先の位置・姿勢・力・モーメントのハイブリッド制御は面接触作業を可能となっており,幅広く応用できる産業ロボットの作業技術である.さらに,このような点接触作業および面接触作業に両方対応できる手先の位置・姿勢・力・モーメントのハイブリッド制御は研究代表者の知る限りに日本国内外には見られないである.また,手先の3関節の軸が一点に交わらなくても逆運動学を解けるための逐次検索法,および大規模の逆ヤコビ行列の計算を回避するための差分逆運動学法という2つの提案手法は高い汎用性を持つため,マニピュレータの作業技術として独創的,実用的なアルゴリズムである.
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