研究概要 |
研究代表者を含むグループは従来から,非常に広い帯域をもつような制御仕様に対して,2ウェイアクチュエータ(オーディオの2ウェイスピーカに模したもの)を用いた制御を行うことを提案している.この2ウェイアクチュエータは,位置決め装置における粗動・微動アクチュエータにまさに合致するものである.しかし,従来のアクチュエータの駆動方法は,シーケンシャルな手続きによるものであり,アクチュエータをいわば1ウェイとしか使用していない.一方,申請者らの提案する2ウェイアクチュエータでは,2つのアクチュエータが並行して駆動することを考えており,位置決め装置における粗動・微動アクチュエータに対してこの方式を適用すれば,高精度化のみならず高速化も可能であると期待できる. 本年度は,位置決め装置を構成する各パーツに関する前年度に得られた特性をもとに,コンピュータシミュレーションを行った.とくに,精密な位置決めを行う場合でも,PWM制御を前提とした制御則が有効であることを示した.また,位置の計測については,ロータリエンコーダとボールねじの組み合わせによる方法を採用し,本手法に用いるための工夫を,ソフトウェア面で検討した.PWM制御を前提としたフィードバック制御系は,理論的解析が従来あまりなかったが,本研究ではいくつかの具体例についてPWM制御系を解析し,注意すべき点を指摘した.また,同一の位置センサを2つ併用し,単一のセンサよりも高精度かつPWM制御に適した複合センサを提案した.
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