研究概要 |
現在港湾での荷役作業において,船舶搭載型の旋回クレーンが多く用いられている.この作業は,時間あたりで支払う船の停泊料が莫大なため,荷物の積み下ろし時間の短縮が求められている.また,旋回運動によって発生する遠心力や搬送開始時の加減速,さらに風や波,船の動揺による影響によって,吊り荷が振動しやすく,非常に難しい作業となっている.従来,この船舶搭載型旋回クレーンにおける作業は,ほとんどが熟練労働者の経験と勘により,搬送物を振動させないように操作されている.その際,作業スピードを要求され,かつ安全面において神経を使うため,過酷な重労働となっている.近年は熟練労働者の不足も問題となっており,経験の浅い者でも,安全かつ迅速に操作できる制御システムの開発が求められている. そこで本研究では,クレーンにより荷役搬送を行う際,人間の高度な状況判断能力を必要とする搬送計画や経路決定などの自動化が困難な非定型作業は,操縦者が自ら指令を与え,荷物の振動抑制制御や障害物回避などの高度な熟練技術を必要とする部分は機械が自律的に行い,経験の浅い操縦者でも安全かつ効率的に作業可能なオペレータ支援システムの研究開発を行った.さらに,従来のオペレータ支援システムにおいて問題であった機械が支援動作を自律的に行うことによる操作性の違和感を改善するために,ハプティック制御によりそれらの動作が行われることを操縦者に力覚で提示することで,操作性の向上を目指した. 結果として,円柱座標系における拡散方程式より障害物情報を含むポテンシャル場を用い,障害物に荷物が接近した際,旋回クレーンの速度を制約するアルゴリズムおよび,制約速度をジョイスティックにフィードバックし,ハプティック制御により危険回避を操縦者に提示可能なシステムを構築した.
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