研究概要 |
CFRP積層材を知的材料・構造体へと進化させるための基盤技術として,人為的層間はく離を導入した受動的制振CFRP積層材を作成し,その曲げ一次の固有振動数およびモード損失係数を,Labviewを開発環境として今回新たに作成した振動測定・解析プログラムを用いて評価した.炭素繊維強化プラスチック(CFRP)フラットパネル,テフロンシート(厚さ0.2mm)および接着フィルムを積層構成に基づき積み重ね,130°,大気圧にて加熱成形し,挿入したテフロンシートにより人為的に層間はく離を導入し,最終的な供試体とした.以上の手順で中央層のみ,外側層のみ,または全層に挿入する場合など粘弾性インターレイヤ挿入の位置・方法を変え,全くはく離しない場合および20〜60%層間はく離した場合の供試体を製作した.供試体のバラツキを考慮するため,層間はく離のそれぞれに対し,3本の同じ供試体を製作した.作成した供試体を十分に剛な作業台上のバイスに片持ちはり状態で一端を固定し,他方の自由端部に小型加速度ピックアップセンサを取り付けた.そして,自由振動および強制振動させ,加速度ピックアップセンサのアナログ出力をPCカードタイプのA/Dコンバータ(DAQCard)によりデジタル信号化された波形データとしてノートパソコンへ取り込み,汎用測定システム開発環境(Labview 6.1)により解析した.その結果,層間はく離がこのような制振構造物の振動・減衰能の向上に有効であることが定量的に確認された.
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