研究概要 |
ベローズ管(以下,ベローズと呼ぶ)は,複数のヒダが表面に並ぶ蛇腹状に成形された管であり,応力を緩和する伸縮継手として,原子力プラントの配管やエンジンシステムの燃料配管などに多く用いられている。しかしながら,ベローズ内部の流体流れに起因して流れ励起振動が発生し,疲労破壊を招く恐れがある。 本研究は,この流れ励起振動の振動学的特性,振動の発生条件(臨界流速),および励振メカニズムを実験により調べた。実験では蛇腹状に成形されたベローズのヒダ構造を2次元的に模擬した実験装置を用いた。流速を変化させてヒダに発生する振動を計測し,振動が発生する流速域を調べた。パラメータとして,ピッチ,ヒダの数,ヒダ先端の形状,および減衰比を変化させて実験を行った。流速はヒダの幅を代表長さに取った換算流速と,ピッチ長さを代表長さに取った換算流速の2つの換算流速で整理した。 実験の結果,ピッチ長さを代表長さに取った換算流速が約2以上の場合に,激しい振動が発生することを明らかにした。また,その時のストローハル数は約0.48であることを明らかにした。さらに,振動が発生しているときの流体流れを可視化することで,連続するヒダの振動とヒダ先端から剥離する渦とが互いに達成して振動が発生することを明らかにした。また,流れの可視化の結果,発生する振動のモードには,隣り合うヒダが同位相で振動する「同位相モード」と,逆位相で振動する「逆位相モード」の2つタイプがあることを明らかにした。そして,大きな振幅の振動は逆位相モードで発生することを明らかにした。 これらの成果は,流体流れによりベローズ管に発生する振動を評価する上で,工学的に重要な知見を与えるものである。
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