研究概要 |
平成18年度においては,平成16,17年度に行った,超柔軟要素を用いたマニピュレーションの一例としての投射・巻き付きによる捕獲マニピュレーションに関する研究について国内外講演会における成果報告を行った.さらに,開発した制御法をより一般的に拡張し,このような劣駆動と呼ばれる系についてより多様なマニピュレーションを行う上で必要と考えられる,劣駆動系の動力学挙動の解析と制御に関する研究を行った.また,超柔軟ロボットシステムの特長を活かした応用の一例として,3次元超柔軟ディスプレイなるシステムの開発を行った. 劣駆動系の動力学挙動の解析と制御に関しては,根元のみが駆動され,その先の2関節は弾性を有せず粘性(摩擦)のみを有する受動関節である,3関節劣駆動マニピュレータの動力学を平均化法を用いてその大域的挙動を解析し,駆動関節に周期入力を与えることで,静的平衡点である重力方向と異なる傾斜方向への動的安定化制御法を提案し,その有効性を検証した. 3次元超柔軟ディスプレイの開発においては,ひも状の一次元超柔軟要素の上にLEDのような発光素子を配列し,超柔軟要素の運動によって曲面を形成し,その運動に同期して発光素子列の発光パターンを与えることにより,複雑かつ多様な曲面を持ちうる新たなディスプレイを提案した.これは,超柔軟要素の特徴である軽量性から可搬性に優れるシステムであり,単にディスプレイに限られない広い応用可能性を有している.ここまでの研究でいくつかの試作機を製作し,その有効性を実験により検証するとともに,動力学シミュレーションによるその運動の解析を行った.
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