研究概要 |
本研究課題は,安価で柔軟性の高い細胞内の微細作業のシステムの構築を目指して,顕微鏡下に配置が可能でナノオーダの制御が可能な超小型自走ロボットを開発すること,ならびに顕微鏡画像を用いてロボットの位置や姿勢,また制御対象の細胞を高速で認識し,複数台のロボットで協調して微細操作をおこなう手法を検討することを目的としている.以下に平成16・17年度の研究成果を列挙する. 1 顕微鏡下で微細作業を実施するために,XYΘに自由度を持つ超小型ロボットの製作をおよび改良をおこなった. 2 オリンパスの倒立顕微鏡(IX-71)を導入し,超小型自走ロボットを用いて微細作業をおこなうための実験システムを構築した. 3 複数台のロボットを用いた協調微細作業の基礎実験として,顕微鏡下のシャーレに無作為に配置した100[μm]のガラスビーズを,ロボットに搭載したマイクロピペットを用いて移動させ,微小サイズのアルファベット文字を描画した. 4 細胞内微細作業に必要となる,微少量の流量制御が可能なポンプシステムをロボットに搭載可能なサイズで開発した.ロボットと開発したポンプを用いて,シャーレ上に配置した細胞を模倣した100[μm]のアルギン酸ボールに対して吸引固定およびインジェクションの実験をおこなった. 5 細胞の立体観察をおこなうための,微小振動回転機構を作成した.微小振動回転機構の基本特性として,圧電素子の振動数と細胞の回転に関する特性や,シャーレ内の細胞の位置による回転特性など実験・検証した. 6 実験によって得られた結果により,任意の方向に細胞を回転させることが可能となったために,ロボットに搭載した振動回転機構をもちいて,さまざまな方向から細胞の観察をおこなった. 7 さまざまな方向から取得された複数毎の細胞の画像から,CT技術を応用して細胞の3次元的な情報を再構築するための手法について,検討・実験をおこなった.
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