研究概要 |
本研究では,最適送出電圧制御との協調を取りながら配電ネットワークの最適構成を決定する手法を開発し,その開発技術を基盤として,分散型電源のフリーアクセス化,供給信頼性の維持,三相不平衡電圧や高調波の低減,三相配電損失の最小化など,次世代の配電ネットワークに課せられる課題を解決できる最適な運用形態を構築した。最適な運用形態の構築にあたっては様々な運用形態を立案し,各案に対して供給信頼性,三相電圧不平衡,高調波,三相配電損失などを時々刻々変化する需要断面ごとに定量的に解析・評価することで,最も妥当な運用形態案を選出する方法を採用した。また,様々な運用形態案ごとに,供給信頼性,三相不平衡電圧,高調波,配電損失などを解析・評価する手法も開発した。 一方,多数台の分散型電源の連系による複雑化した面的な広がりを持つ配電ネットワーク構成を配電損失面や電力品質面から評価することを目的として,三相不平衡負荷や時間による負荷の変動など,実データに基づいた3分割3連系配電ネットワークの標準解析モデルを構築し,膨大に存在する分散型電源が連系された配電ネットワーク構成候補の中から配電損失面,電圧歪率面,電圧不平衡率面,ならびに総合バランス面から見た構成候補の多面的評価を行うための評価方法を提案した。提案手法では,膨大な配電ネットワーク構成候補の中から,配電損失の面で優れた上位の構成候補だけを絞り込み,それらの中から電圧歪率と電圧不平衡率が許容範囲を満足する候補の(1)配電損失,(2)電圧歪率,(3)電圧不平衡率をそれぞれ0から1に正規化した上で3次元(三角形)のレーダーチャートで多面的に評価する。レーダーチャートで配電ネットワーク構成候補を評価することで,各評価軸の長さが短く,三角形の面積が小さいほど,構成候補が多面的に優れていることを視覚的に提示できる。なお,提案方法の妥当性を検証するために,構築した配電ネットワーク標準解析モデル上で多面的な評価を行った。
|