本研究では、プラズマディスプレイ(PDP)の発光効率向上を目的とし、特に放電形状と効率の関係を調べ最適な放電形状を見出すことを目的としている。 本年度は、まず昨年度用いた対角4インチのテストPDPパネルでの実験を進めた。このパネルはNe-Xe混合ガスが66.7kPaで封入されており、放電セルは3電極面放電型構造で、放電セルピッチは縦1.08mm、横0.36mmである。昨年度の実験からXeの混合比増加に伴い放電形状が変化していることがわかった。なお発光効率はXe混合比が高いほど向上する。放電形状の観測結果から特に混合比増加とともに陽極上の放電形状が大きく変化したが、これを電子温度の変化が要因と考察した。駆動電圧を変えながら調べたところ、混合比が高いほど電圧を高くした方が効率が高いという結果が得られた。つまり、混合比が低い場合は駆動電圧の最も低い場合でも、すでに電子温度の高い状態の放電が形成されるが、混合比を高くすると駆動電圧の低い領域ではいまだ電子温度が低く、電圧を高くすることで最適な電子温度の放電が形成されている。各Xe混合比に対する放電形状の違いは電子温度の違いであることが確かめられた。しかし、本研究の目的である放電空間全体に広がる低エネルギー放電形成には至らなかった。 そこで次にこれまでとは全く構造の異なるテストパネルを用いて実験を行った。このテストパネルは放電空間は縦0.45mm、横1.0mmと従来と大きな差はないが、電極配置が全く異なり電極が隔壁に埋め込まれている。また電極間隔は従来の6倍程度である。利用する放電は従来構造で形成される前面ガラスにそった面放電ではなく、隔壁電極間に形成される対向放電となる。このパネルにおいて駆動電圧、駆動周波数を適切に設定すると空間全体に広がる拡散放電が形成できた。封入ガス圧を60kPa、Xe混合比を30%としたテストパネルにおいて4.3lm/Wの白色発光効率が得られた。
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