研究概要 |
本課題では,無線LAN(Local Area Network)におけるサービス品質管理のための電波資源利用高効率化技術に関して研究を行なった.平成17年度前半は平成16年度に引き続き,2005年10月に策定されたばかりの無線LANのサービス品質制御規格IEEE802.11eを前提に,物理レイヤ特性がサービス品質制御に与える影響について評価・解析を行った.平成16年度に,無線LANにおいて物理レイヤ特性が引き起こす問題を解決するアクセス制御方式QC-DCAを提案・設計したが,平成17年度は本方式についてさらに詳しく性能評価を行った.具体的には,アクセス端末数に対する特性や保証可能なスループットの最大値を評価した.これらの成果を,電子情報通信学会ソサエティ大会ならびにオーストラリアで開催された国際会議APCCで発表した.また,本成果は2006年6月には電子情報通信学会英論文誌Bで出版される予定である. 平成17年度後半は,無線LANの資源利用に関する応用的な研究を行なった.まず,平成16年度にも検討を行なった携帯電話システムと無線LANの相互補完的運用によってサービス品質を向上する手法の研究を行なった.この成果を電子情報通信学会技術研究報告で報告した.また,高速移動通信環境での通信品質を改善する方法として,無線LANを用いた車々間パケット中継方式を提案し,理論的な解析を行った.これについて電子情報通信学会技術研究報告で報告を行なった.また,本課題において非常に重要であるユーザ満足度についても検討を行い,サービスに対する満足度を示す効用とユーザにとっての損失を示す対価について検討を行なった.無線LANを想定したモデルにおいて,効用と対価を考慮する必要性を証明した.本成果は電子情報通信学会技術研究報告で報告されている.
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