研究概要 |
本研究では地震予知システムへの応用を念頭に,井戸の高精度水位計測について研究を行った。前年度は,定在波を利用した水位計測の適用例として,浴槽の水位及び温度の同時計測システムを提案した。また,外乱に対してロバストな計測システムを実現するため,最適なセンサ取り付け位置を決定する方法を提案した。 今年度は,地震あるいは集中豪雨などによる土砂災害(土砂崩れ)などの防止の観点から,山の斜面に打ち込まれるコンクリート杭の健全度評価を考えた。つまり,コンクリート杭の頭に加速度センサを取り付け,ハンマーなどでその近くを叩くと,コンクリート杭の内部には,コンクリート杭が健全であれば全長に対する定在波が,途中に大きなひびが生じていれば,その箇所までの長さに応じた定在波が生じる。したがって,前年度までに提案した(音響センサ方式による)方式を拡張することにより,コンクリート杭の健全度をみることができる訳である。この方式により実際にフィールドテストを行い,長さ約26mの(土中埋設)コンクリート杭の健全度を評価できることがわかった(雑誌論文1,3番目に関連)。 更に,加速度ピックアップを用いた鋼管の長さ計測も(定在波を用いた提案システムの範疇の)別の適用例として考えた。これは,鉄鋼メーカなどで生産される鋼管の長さを,製造プロセスの途中で,あるいは製造後,山積みされた後に高精度に計測するものである。この計測対象に対しても,コンクリート杭の長さ計測同様,音響センサを用いたときの計測システムを適切に拡張することにより,実際のフィールドテストにおいて,長さ5m〜25mの鋼管に対し,計測誤差3〜5mm程度の高精度な計測ができた(雑誌論文2番目に関連)。
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