研究概要 |
橋の高欄やベランダの手すりなどの平板列から発生する空力音のうち,約1kHz以上の高音域で生じるエッジトーンは,耳障りな音となることから騒音問題となる場合が多い.この現象を対象に,低騒音風洞において実験条件を変えて行った種々の実験結果より,平板前縁のエッジのフィードバックが励振部となり,下流側の平板列が共鳴部となる発生メカニズムが想定された.また,その対策手法としては,励振部の形状を変化させることが有効であることが分かった.一方で,諸元の異なる平板列模型を用いた実験や乱れの強い風の中に模型を置いた実験ではエッジトーンの発生が見られず,平板列による空力音の発生の検証のためには,実スケール模型による実験および現場の風況調査が必要であることが示唆された. 次に,実際に神奈川県内の道路橋において,強風時に高欄から発生している空力音の実測を行い周波数解析を行ったところ,高欄を構成する平板列の厚さ,幅,間隔の諸元より,上記発生メカニズムによるものと推測された. 圧力測定器のセンサー部とアンプ部を分離した装置について,チューブ長による変動圧力の伝達特性の影響を調べ,直方体模型を対象に表面変動圧力の測定を行い,高周波数成分まで測定できることを確認し,より詳細な空力音の発生源の解明に有用であることを示した.また,超音波風速計による実風速の測定を行い,周辺の構造物や自らの作る乱れにより,空力音や構造付属物の振動による音の発生に影響を与える高周波数成分が大きいことが分かった. 構造物を構成する基本的部材である円柱および角柱,矩形柱から発生する空力音についても,これまでの成果を合わせて取りまとめ,その特性について整理した.
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