研究概要 |
化学変化,熱,および変形を連成させた分解変形シミュレータを開発し,ハイドレート分解時の地盤変形挙動について考察した.ハイドレート開発時には,地盤中で水およびガスが発生し,急激な温度変化を伴うため,地盤変形を生じることが懸念される.特に土粒子間に存在するハイドレートが分解によって消失することに伴う土骨格の構造変化が重要である.本研究では,ハイドレート含有地盤を,土粒子・水・ガス・ハイドレートより構成される多相地盤として捉え,各相の連続体の質量保存則,運動量保存則,エネルギー保存則等の支配方程式を用いることにより,多相連成有限要素法を定式化し,ハイドレート分解時の地盤変形解析法の開発および分解シミュレーションを行った.不飽和地盤を取り扱うため,土の構成則に用いる応力変数の扱いが重要となるが,本研究では全応力から液相・気相の平均圧力を引いた,平均化骨格応力を導入した.また水分特性における構成式として,van Genughten式を用いた.ハイドレート分解に伴う,固相から液相・気相への相変化に関しては,各相の質量保存則に取り入れ,また分解に伴う吸熱量をエネルギー保存則中で考慮する.分解速度はKim and Bishnoiらによって提案されている実験式を用い,現在の圧力・温度と平衡状態での圧力・温度によって決定すると仮定した. 解析では一次元要素を用いて,地盤中のハイドレートを加熱あるいは減圧によって分解させた際の変形,分解挙動のシミュレーションを行った.分解時には間隙圧力の変化,土構造骨格変化に伴って相当量の圧縮変形が生じる.特に減圧法による分解時には,分解による応力変化に加えて,減圧そのものの影響により,大きい沈下が生じた.
|